最近の読書から


いよいよ本格的な梅雨の模様で昨日、今日と蒸し暑い。吉野に越してきてから寒さには強くなったが、暑さにはめっきり弱くなってしまった。暑さに弱いといってもクーラーも苦手である。だから暑くなると外出するのが億劫になる。暑い時でも夕方になってス〜ッと涼しい風が吹いてくる我が家が一番である。昼間も滅多にクーラーをかけることはない。で汗腺が細くなったのか、暑さに弱い。滝のように汗が流れることが無くやたら顔が熱って頭が痛くなる。これも余り良いことではないかも知れぬ。

さて表題の読書。 本も溜まると置き場に困る。本棚は満杯である。で、こちらに越してきてしばらくして、町の図書館が開館した。貸し出しは1回、5冊まで、期限は2週間以内である。それから専ら本は図書館で借りて読む。一日の読書量は余り多くないので、しっかり読むもの、軽く読むエッセイ等、雑誌と合わせて5冊借る。なるべく新聞の書評などで良さそうなものはチェックしておいて借るのだが、パラパラっと見て借りたりするので当たり外れもある。最近読んだので良かったのは浅田次郎著「中原の虹」である。読むきっかけは長女から「中原の虹」の4巻を借りておいてと頼まれたからだ。なんでも姫路の図書館は予約がつまっていて3ヶ月ほど先になるので3巻まで読んで3ヶ月も空くのは嫌だからということで借りに行ってついでに1巻を借りて読むことにしたのである。私は外国物は名前がややこしくて苦手で余り読まない。最近では「ハリー・ポッター」くらいである。でもこれは中国のお話なので、名前も漢字なので覚えやすかった。すっかりはまって一気に4巻まで読んでしまった。漢時代の最後を描いたものである。西太后の名前は知っていた。極悪非道な人というごく単純な認識しかなかった。本当に歴史を知らない、真実を知らないとつくずく思った。文体は時代が飛ぶ、場所が飛ぶで読みやすいとは言えないかも知れないが引き込まれた。心に残ったのが、4巻の終わりごろに歴史の編纂をする老臣が言った言葉で簡略に言うと「すべてのよくを捨て、私なるものの利権と言う権利の全てを捨て去ることが政治でありそれを体現する者、民の平安のみを自分の信条とする者が政治家である。己が利を考えるのは悪。他者の利を考えるのは善。より上善は過去の歴史を鑑み、現在の状況を深く考え、未来の者に利をもたらすこと。百年後の民の幸福を希うて政治を為すこと」という一文である。今を生きる私達は、百年後の人たちに胸を張って今を語れるのだろうか?政治家のみならずすべての人間の責任であろうと思った。

さだまさしの「解夏」は、大人の少女小説みたいで読みやすかった。表題の「解夏」は長崎が舞台で言葉も場所も懐かしくこの秋、父の23回忌と母の7回忌が重なるので長崎で法事をすることになっているので、あちこち訪ねてみようと思った。