天国の貴女へ(4)
貴女との思い出に映画も欠かす事が出来ません。
小、中学校の頃は専ら近くの邦画館で、
邦画を見ていましたね。
粉浜や我孫子に良く行きました。
長谷川一男の「銭形平次」やアラカンの
「鞍馬天狗」など。ちょっと、オシッコ臭い
小さな劇場で鞍馬天狗が「杉作、待ってろよ」
と馬を駆けてゆくと、観客が拍手して興奮
したものでした。現代ものも観ましたね。
貴女は大木実のファンで、私は高橋貞二の
ファンでした。その頃は、夏休みに校庭で
白い幕を張って映画会がありました。
それも楽しみで、大勢になると裏から
観ていたりしました。
高校生になると、今度は洋画にはまりました。
封切館は、松竹座、スバル座、角座、南街で
100円くらいだったかな?
ちょっと古い3本立ては55円でした。
気に入った映画は、何回も観ました。
「ファンタジア」は南街に音楽部員10人
位で初日、中日、最終日と観に行きましたね。
「ローマの休日」「グレンミラー物語」
「上流社会」「十戒」「ベンハー」「シェーン」
「王様と私」エトセトラ、エトセトラ
ハリウッドの全盛時代というか、良い映画が
いっぱいありました。
放課後は、クラブ活動や映画に忙しい日々
でした。お小遣も苦しくなると二人で
難波まで歩いて「蓬莱」に豚まんを食べに
行きましたね。40円で2つ、今の2倍は
有ろうかという大きな豚まんでそれを1つずつ
食べて、また一駅歩いて、何をしている事やら!
そんな楽しい高校生活を終えて私達も
終に別々の道を歩き出したのでした。