歌舞伎


今回の生協のカタログに歌舞伎のチケットがあった。
尾上菊之助の「十二夜」である。
シェークスピア劇を歌舞伎にアレンジし、蜷川幸雄が演出したものだ。
先日「情熱大陸」でロンドン公演の模様を放送しているのを見た。
シェークスピアの長いせりふを歌舞伎にする難しさ、一人で3役する早代わりが舞台の作りが歌舞伎座のようになっていないことや主人公の心象を踊りで表現し本場のイギリス人に見せて魅入らせる凄さなどの裏話を興味深く見た。
なにしろ、菊之助女形として咲き誇れる牡丹の花のように美しい。まさに旬である。
名優と言われる方々はあまたおられようが、女形は特に美しい時に見たい。
もう40年くらい前に中村錦之助のお兄さんで中村時蔵の襲名披露の公演にいったことがある。
細面で可憐でとても綺麗だった。将来を期待されていたのに若くして亡くなられてしまい残念だった。
話は変わるが、今の中村勘三郎の初舞台も観に行ったことがある。
勘九郎ちゃん、勘九郎ちゃん」と小さい時から人気があった。
初舞台は3歳位だったか、金太郎に扮して先代勘三郎の熊さんを投げ飛ばしてやんやの拍手だった。
その勘九郎ちゃんが、いまや歌舞伎界の重鎮であることを考えると自分の齢も肯かれるというものだ。
私の記憶に残っているもう一人の名優は中村歌右衛門さんで、その頃は南座の「顔見世」もチケットは発売日に南座に並んでとらなければならなかった。
で、南座をぐるりと取り巻く様にチケットを求める人が並んでいる所を楽屋入りする役者さんが通る。
そのなかで、小柄な歌右衛門さんがいらして並んでいる人々に丁寧に「ありがとうございます。ご苦労をお掛けします」と頭を下げつつ通られた。
歌右衛門さんは出ている役者さんの中で一番の看板の方である。
やはり、偉い方は違うと一緒に行った友人と感激しあった。
歌右衛門さんはそのころ、もう70歳は超えられていたと思う。足もちょっとご不自由のようだったけれど舞台はしゃんとして全然わからなかった。
昔は、歌舞伎も割りによく行っていたけれど最近はトンとご無沙汰である。
今回の菊之助は是非行ってみようと思う。