うちの猫(二代目)ピピー1

ピピは母のうちの飼い猫白の最後の仔である。
老猫で、一匹しか生まなかったが、もう全然乳が出なかった。
納戸の長持ちの後ろに落ちているのを私が必死で拾い上げて
連れ帰りスポイトで牛乳を飲ませて育てた。目が開く前から
人に育てられたので自分が猫だとは思っていないふしが
有って、良くしゃべるし、お返事はいいし怖がりの優しい猫
だった。家族が帰ってくると階段を上って来る頃から分るのか
玄関に出てお帰りなさいとお辞儀をする。
子供たちもピピと共に大きくなった。私にとっては、戦友の
ようなもので、家族に見せない涙もピピだけが知っている。
ピピを抱きしめて涙を流してどれだけ慰められたことだろう。
呼べば、必ず返事して側に来てくれたピピ。
主人の事業の失敗で、我が家が大変なときも何時も一緒に
いた。ピピは、単なるペットではなく、家族の一員だった。
白はピピを生んでまもなく死にミッチは子猫のピピに家族の
愛情が移ったと思ったのか、母の家に家出をしてしまった。
この教訓から、二匹飼いは絶対するまいと思っていた。